物件を借りる際に礼金と敷金(保証金)というものがあります。
礼金は契約時に貸主に支払い、そのまま貸主の収益になるお金。
敷金(保証金)は契約時に貸主に預け入れ、契約が終了したときに賃料の滞納等がなければ貸主より返却されるお金となります。
(原則として満額が返ってきますが、契約で解約時に償却ありといった定めをしているときはその限りではありません)
事業用物件の場合の標準的な金額は、それぞれ月額賃料を基準に概ね以下の通りです。
貸事務所の礼金:0〜1カ月、稀に2カ月
貸事務所の敷金:物件により幅があり、1〜12カ月。2〜6カ月が中心となります。
貸倉庫・工場の礼金:1〜2カ月
貸倉庫・工場の敷金:1〜4カ月
基本的に大型物件あるいはグレードの高い物件になるにつれ、礼金月数が少なくなる一方、敷金月数が多くなる傾向があります。
これは大型・ハイグレード物件=大手法人貸主が中心、借主も大手法人が多くなるため、貸主が礼金による収益の補完を求めるよりも、敷金月数のアップにより滞納等のリスク回避を図りたいという意向が強くなることと、借主も敷金としてより多額の一時金を負担できる体力のある会社が増えることが理由と思われます。
上記の目安からすると、
例えば貸倉庫の物件で礼金:1カ月、敷金:1カ月という設定の募集があった場合、相場的にはお客様にとって最も負担の少ない設定条件となるためここからの値引き交渉は一般的には難しく、それであれば賃料等で値引きを頑張ったほうが現実的という判断が可能になります。
(そもそも礼金の意味がわからないという意見も多くいただきますが、あくまでも相場からみたお話としてご理解ください)
逆に今でも時々ありますが、貸事務所等でそれほど立派な物件でもないのに、礼金2カ月、敷金4カ月の設定など。
こういう物件であれば借りる側としては条件を飲む飲まないは貸主の判断とはいえ、とりあえずは礼金1カ月、敷金2〜3カ月ぐらいで交渉を入れてみるというのが条件交渉のセオリーになってくるかと思います。
あまり相場を無視した条件交渉は貸主の心証を悪くするだけであまり得策ではありませんので、このような目安を知っておくということはとても大切なことだと思います。